わが国の住宅需要構造を変化させてきたが、これらの背景とともに住宅建設を左右する要因に、住宅取得能力の問題がある。これは、昭和五十年代に入ると宅地供給が減少し、地価が高騰して住宅価格が高くなる一方、所得が伸び悩んで、勤労者が住宅を取得しにくくなったという事情があるからである。首都圏の分譲住宅の場合を例に住宅価格の年収倍率をみると、昭和五十三年にマンションで四・二倍、建売住宅で五・三倍だったのが、昭和五十四年以降価格と年収の差が大きくなって、マンションが昭和五十六年には五・一倍、建売住宅が昭和五十七年には六・八倍となっている。
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このような住宅価格と所得との差乖離の拡大が、それまで住宅建設の主役だった持家建設を鈍化させた。昭和五十九年以降、年収の着実な伸びや建築費の安定などにより、乖離はやや縮小し、持家系住宅の着工戸数が下げ止まりから増勢へと転じた。しかし昭和六十二年には、首都圏の地価高騰による住宅価格の大幅上昇から、マンションで五・四倍、建売住宅で五・六倍と乖離がふたたび拡大、昭和六十三年にはそれぞれ七倍、七・五倍とさらに拡大し、持家取得がいっそう困難になった。