定年後に家を建てる場合、とくに風呂好きのご主人方がしばしば希望されるのが「温泉旅館のような広い風呂」である。しかし、高齢者にとって広すぎる浴槽は危険である。滑ったり転んだりして湯のなかに沈んでしまった場合、自力で起き上がれずに溺れる可能性がある。バスルームは自宅内でもっとも事故が起こりやすい場所なのだ。したがって、浴槽は万が一の場合にも脚を突っ張れる程度の広さがいい。一方の端に背中をもたせかけたときに、膝が軽く曲がるくらいの広さ。
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具体的には長辺一メートル二十センチ規格の和洋折衷タイプの細長い浴槽である。温泉好きのご主人方のなかには、「湯面が浴室の床と同じになるくらい深く埋め込んだ浴槽」を希望する方もいらっしゃる。たしかに温泉旅館の風呂はそういうつくりになっていることが多い。しかし出入りの安全や掃除の便を考えれば、あまり深く埋め込むのも考え物だ。